●● 通勤手当、旅費交通費の処理について ●●


今回通勤手当、旅費交通費の処理について間違いやすい点がいくつかあるので、一緒に見ていきましょう。

@通勤手当の課税・非課税

 税法上、非課税限度額があり、通勤手当は非課税ですが、限度額を超えた部分については給与となり、所得税が課税されます。

■通勤手当の非課税限度額平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用)

区分 非課税限度額
@ 公共交通機関を利用して通勤している人に支給する通勤手当、通勤用定期券 通常の通勤の経路及び方法による運賃または料金 (最高限度 15万円)
A 自転車や自動車などの交通用具を使用している人に、支給する通勤手当で通勤距離が片道 2km未満 全額課税
2km以上10km未満 4,200円
10km以上15km未満 7,100円
15km以上25km未満 12,900円
25km以上35km未満 18,700円
35km以上45km未満 24,400円
45km以上55km未満 28,000円
55km以上 31,600円
B 鉄道・バスなどのほかに、車・自転車等も利用して通勤 @とAの合計額 (最高限度 15万円)

・車、自転車での通勤の場合

片道2Km未満は、全額課税されます。
自動車の場合は、ガソリン代や任意保険料、使用による車両の減耗分を付け加えたりする例もありますが、非課税限度額を超えた部分に関しては課税されます。


・徒歩で通勤する者が受ける通勤手当の場合
通勤手当を非課税とする特例は、自転車等の交通用具を使用する者を対象としています。
したがって交通用具を使用しないで徒歩で通勤する者に通勤手当を支払った場合には、全額が給与になり、所得税が課税されます。

・通勤手当を一律に支給する場合
 通勤距離に関係なく全社員、一律に一定額を支給する場合、非課税限度額を超える金額が給与として課税されます。

・通勤手当を明示しない場合
 通勤手当を含めて給与を支払った時、給料明細に明示されていなければ、全額が給与として課税されます。


Aタクシー代は?
 残業などで、社員をタクシーで帰宅させた場合のタクシー代は、自社の業務のために支出するものなので旅費交通費になります。
 また、取引先を飲食店などへ送迎したりしたタクシー代や、得意先の接待が深夜にまでおよび、社員がタクシーで帰宅した場合は「接待・供応・慰安・贈答その他これらに類するもののために支出するもの」となり、この場合のタクシー代は原則として、交際費です。 ただし、他社が主催する懇親会(懇親会会費用はすべて該当他社が負担)に当社の役員や社員が招待され、会場までタクシーを利用したというようなケースでは自社の業務のために支出するものであるとされるため、旅費交通費で差し支えないとされています。


B出張の際は・・・
 旅費交通費について、源泉所得税が課せられないため、税務調査で架空出張や私的な旅行等でないかなどがよく調査されます。
 そのため、旅費清算書や旅館・ホテルなどの領収証を整理保管しておきましょう。
 


不況を反映して、多くの企業で通勤手当、営業に必要な旅費交通費等の見直しが行われています。
通勤手当や旅費交通費(交通費、出張旅費など)が妥当なのか、
適時、点検し、見直していきましょう。