~消費税増税に伴う、社内での経理実務の注意点~
消費税率8%の施行日である、平成26年4月1日をまたぐ取引の適用税率と経理実務について、具体例あげて紹介していきます。
Q:平成26年4月1日以降の売掛金、買掛金や未払金の管理はどうすればよい?
A:売掛金、買掛金等の債権債務は税込金額で回収・支払をするので、税率での管理は特に必要ありません。
ただし売上の返品や売掛金の貸倒が発生した場合、売上を計上した時の消費税率で処理をすることになるので、得意先、取引先との不合が生じるおそれがあります。これに対し、以下のような対策が有効です。
対策1 品番管理の徹底
品番管理を徹底することで、返品等の対象となった商品の特定や販売時点の税率の確認がスムーズになります。
対策2 得意先元帳の整備
売掛金の貸倒れが発生した場合も同様に、未回収の債権の特定・記録・保管をする必要があります。
得意先元帳等の整備を行い、回収されていない債権の特定をスムーズに行える措置をとりましょう。
Q:請求書発行システムが複数税率に対応していない場合は?
A:請求の締め日が末日ではない場合、平成26年4月1日をまたぐ請求書を発行する必要があります。
この場合平成26年3月31日までの納品等に対する消費税率は5%、同年4月1日以降の納品等に対する消費税率は8%となるため、請求書の発行方法に工夫が必要です。
対策 税率ごとに請求書を分けて発行する。
請求書を一部で発行せず、平成26年3月31日で請求を一旦締めて請求書を発行、翌日4月1日から通常の締日までの請求書をもう1部発行するとよいでしょう。
Q:施行日をまたぐ出張旅費の処理は?
A:平成26年3月31日までに新幹線等の切符を購入した場合、経過措置が適用され消費税率は5%となります。
ただし経過措置が適用されるのは「切符」を購入した場合のみで、それ以外での精算方法は経過措置の対象とならず(ICカードでのチャージ等)、複数税率での精算となるのでご注意を。
経過措置の対象外となる場合(複数税率)の対策
対策1 複数税率での精算になることを、事前に出張者に知らせる。
対策2 出張旅費の精算書を平成26年3月31日で一旦仕切らせ、同4月1日以後の分と合計2通作成させる。
対策3 出張者が出張先で購入した乗車券等の購入日と使用日を明確にしておく。
仕入税額控除について
消費税額は「課税売上に係る消費税額-課税仕入に係る消費税額」で計算します。
この「課税仕入に係る消費税額」を差し引く(仕入税額控除を受ける)には、帳簿・請求書の保存と詳細な記載事項が必要です。
●記載事項●
・仕入の相手方の氏名または名称(取引先名)
・仕入を行った年月日(取引年月日)
・仕入に係る資産または役務の内容(取引内容)
・仕入に係る支払対価の額(取引金額)
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