I will promise the effort to carry
to your corporate development
as a strong partner.
 

                ||||||

    
●●● 新会社法での剰余金の配当 ●●●

〜純資産が300万円未満は配当できません〜

平成18年5月施行の新会社法により、配当に関しての取扱いが変更になりました。
今回は、その主なものについてご説明いたします。


1.株主への配当は、「いつでも」「何度でも」行うことが可能

 旧法では、株主への配当は株主総会の決議を受けて行う「期末配当」と、取締役会の決議を受けて年1回行える「中間配当」の2回に制限されていました。これに対し、新会社法では、株主総会の決議により、分配可能額の範囲で期中に「いつでも」「何度でも」行えるようになりました。

2.取締役会決議による配当が可能

 下記の条件をすべて満たしている場合は、取締役会の決議で配当ができます。
  (1)剰余金の配当等を、取締役会の決議にて配当することを定款で定めて
     いること。

  (2)取締役の任期を1年とすること。
  (3)取締役会・監査役会・会計法人のすべてを設置していること。
  (4)最終事業年度における計算書類が適法決算であること。

3.金銭配当と現物配当

 新会社法では、金銭以外の財産で配当を行う手続きが明文化されるため、自社商品等で配当を行う、いわゆる「現物配当」が可能になりました。
 ただし、金銭配当の決議は、株主総会の普通決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の過半数の賛成)で足りますが、現物配当については、原則として株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)が必要とされます。


4.純資産額制限と分配可能額

金銭配当を行う際には、次の2つの制限があります。
(1)純資産額制限

  配当を行う際、純資産額(貸借対照表上の「資本の部」の合計が300万円未満の場合には、資本金の額にかかわらず、剰余金があっても株主に配当をすることはできないという規定が設けられています。

(2)分配可能額

新会社法では、
・配当
・自己株式の有償取得
・相続人に対する売渡請求 等
のような会社財産が株主に払い戻される行為を「剰余金の分配」として整理し、
分配可能額を超える剰余金の分配を禁止する統一の財源規制の下においています。

分配可能額を超えて剰余金の分配を行った取締役やその行為に同意した取締役は、
その分配額を弁済する責任が生じます。


5.剰余金の分配に関する責任

 取締役は、配当に関して次の2つの責任があります。

@事前責任
 分配可能額を超えて金銭配当を行った取締役や同意した取締役は、その分配額を弁済する責任を負います。この弁済責任は過失(不注意ミス)があった場合の責任となり、当該取締役が不注意ミスのなかったことを証明した場合には責任は生じません。また、分配可能額を超えた部分の弁済責任については、総株主の同意があっても免除されません。

A事後責任(期末のてん補責任)
 期中で配当を行ったが、その後の業績不振により、決算の結果、分配可能額を超えて金銭配当を行ってしまったという結果になることも予想されます。その際の取締役の責任は、分配可能額を超えた部分を弁済します。なお、定時総会の決議に基づく配当について責任は問われません。期末のてん補責任が課せられる剰余金の分配の範囲は、決算日から次の決算日までであり、最終の決算期後その決算の確定時までの剰余金分配可能限度額の増減をも反映させることとなっています