●●事業承継について●●    

事業承継について流れに沿って具体的に考えてみましょう。


①経営者自らが事業承継の必要性に気づく事
②今の会社の現状分析
③企業存続のための方向性の決定
④経営承継計画の策定
⑤計画の実施及び見直し

経営者自らが事業承継の必要性に気づくこと

現在、中小企業の経営者の平均年齢は、
業種によっても違いますが、57歳~58歳です。
つまり、60歳前後には事業承継について計画を立案し終わって、
実施している必要があると考えられます。
事業承継は、単に代表権を後継者に与えるという事だけでは成立しません。

後継者への株式の移動。それには贈与税や相続税がかかる場合もあります。

後継者の決定(身内、他人)。
それには会社内外さまざまな意見を聞かなくてはなりませんし、
自分の身内に譲りたいと考えていても、会社の将来の為に、
客観的な考えを持って出来るだけ私情を排除して決定しなくてはなりません。
苦労するのは後を継いだ身内です。

その他、後継者の育成、遺産分割、金融機関からの借入等の
会社のリスクについて等、後継者へ会社を譲る前に経営者が考えなければならない事はたくさんあります。

また、多方面さまざまな人からの意見も、あくまでも参考であって、
最終的な決断は経営者自らが下さなければなりません。

よって、事業存続の為に、事業承継の必要性に気づき
今からでも、家族との会話に事業承継の話題を出してみてはいかがでしょうか。
対策を立てる時期に早いという事は一切ありません。

今の会社の現状分析

企業存続のための方向性の決定

・会社の目的は何なのか?

何のために経営しているのか?

・会社が今後向かう先はどこなのか?

経営者の方々が、アイディアや方向性は持っていたとしても、
しっかりとした具体的ビジョンをもっていないと、社員はとても不安になります。
漠然と頭の中に置くのではなく、経営理念として
会社の方向性や目的を明文化してみましょう。
しかし、ただ明文化していたとしても、社員に浸透していなければ全く意味がありません。社内では常にその経営理念に意味付けし、浸透しているかの確認が必要です。社内に責任感、緊張感をもたらすために
外部に対しても発信したほうが良いと考えられます。
また、特に後継者においては、この会社の原点となる経営理念をしっかり理解してもらわなければなりません。後継者は現経営者と異なった取組をしてアピールしたがる傾向にありますが、既存の経営を引継ぐ以上、その経営理念をまずはしっかり理解し、その上で経営理念の内容が現状にふさわしくないのであれば一部修正するというやり方をした方が良いと考えられます。急な方向転換は社員にとってとても不安で戸惑いますし、社外に対してもあまり良い印象を与えるとは言えません。

経営承継計画の策定

経営承継計画を策定する前に、まずは会社の経営理念に基づいた経営計画を立ててみましょう。

経営計画は、会社の「あるべき姿」に向かってきちんと進んでいるかどうかを確認するために比較するものです。期間としては、まずは中期、長期(経営承継が完了するまでの期間)で考え、将来のあるべき姿への達成に向けて毎年何をするべきかを示し、この考えをベースに当期1年(短期)で何を具体的にすればよいのか数値化していきます。
「作ったとしても実際は上手くいかないから作らない」という方もいるかもしれませんが、経営計画とはそもそも目標であって、その目標と現状のギャップを把握し分析して将来に向けて改善を図る為に作成します。そして、経営承継計画は経営計画の一部であります。
経営計画を行っていくうえで、経営承継はどうあるべきかを考えてみると、おのずと経営承継をするにふさわしい後継者候補や承継方法がみえてきます。また、経営計画を策定すると、銀行、融資に有利な材料にもなりますし、利益予想で有利な節税対策等ができます。
経営の発展なくして承継はあり得ないとういうことです。

◎経営承継計画

 経営承継は、承継する当事者だけで決定し終わる問題ではなく、引継ぐ作業があります。後継者に向かっていきなり「明日からあなたは社長です。」と言われても出来るものではありません。ある程度期間を設けて後継者に経営者としてふさわしい経営力を身につけてもらわなければなりません。また、会社内外に理解してもらい、支援してもらうためにも時間が必要と言えます。よって経営承継を円滑に進めるためにも早いうちからの検討が必要です。

◎実際に経営承継計画書を作る

 経営計画を基に、実際に表にしてみましょう。

 経営承継計画書の項目

①誰を後継者にするのか(親族、社員、M&A)

②いつから始めるのか

③経営理念(会社の方向性、目標等)は何か

④将来のあるべき姿

⑤承継時期にはどのくらいの売上(経常利益等)にしているか(数値目標として)

⑥後継者の資質向上のために行う事

⑦社内外、関係者へ理解してもらうために行う事

⑧いつ承継するか(経営権、財産権)

⑨どのくらい財産を移転するか

⑩その他 税金対策、金融機関対策、'争族'対策等

◎実際にスケジュール化してみる

 いつから始めるのかを明確にし、

  会社、現経営者、後継者

それぞれの立場で、現状とのギャップを解明、解決するために今からいつまでに何をするのかスケジュールを立ててみましょう。

計画の実施及び見直し

いよいよ実践です。
まずは、
PDCAサイクルP(計画を立てる)D(実践する)C(チェックする)A(見直す、改善する)を意識して計画通りにすすめてみましょう。めまぐるしく状態が変化する外部環境、資産状況、社員状況で、計画どおり上手くいかない場合など、問題はたくさん出てきます。そのつどとまではいかなくても、定時株主総会の時期には計画を見直していくことが重要です。また、その際に、「自社株の評価」も一緒に行うと良いでしょう。自社株については他の財産同様に贈与税、相続税が課税されます。自社株の評価額は、思っていた金額より高いという事があり、贈与税、相続税の額が大きくなってしまう場合があるからです。経営承継計画は一度策定して終わりということではありません。目標にむけて計画の質を上げていくことが大切です。

一つずつ会社の現状を把握、整理していくことで今後の事業承継を円滑に進めることができるようになります。また、会社自体が経営難では引き継ぐ後継者も大変ですし、企業の持つ高度な技術を廃業という形で失ってしまう事にもなりかねません、現状の把握によって出てきた問題について対策をとることで、経営展開の仕方も変わってくると考えられます。まずは会社作りから始めてみましょう。また、経営承継計画を立てるという事は、後継者に経営者としての経営力等を身につけてもらう事の他に、将来のあるべき姿に向かって現在の経営状態の改善も図るという経営計画の意味も持っていると言えます。目標に向けてPDCAサイクルを意識し計画をより良いものにしていきましょう。


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