地震などの災害で被災した取引先等の復旧を支援するために、
災害見舞金や自社製品を提供する企業も多いのではないでしょうか。
法人税では取引先等へ慶弔見舞金を贈ると「交際費等」、売掛金等を免除すると「寄附金」となります。
では、被災した取引先等への支援については、税務上どのように取り扱われるのでしょう。
災害の影響によって通常の営業が困難となった取引先へ、被災前の取引関係を維持・回復
するために贈った災害見舞金や、事業用資産(被災した取引先の事業に利用されるもの、
被害を受けた自社製品の無償交換・補てん、従業員等の福利厚生として使われるもの)
を供与するために掛かった費用は「交際費等」にならず、全額が損金の額へ算入されます。
これは取引先を支援することで、自社が被る損失の回避に要する費用として考えられるためです。
※災害見舞金を贈る場合には、要件を満たしていることを明確に
しておくために、支出の目的・取引先・金額等について記載した
取締役会議事録や稟議書等を作成しておきましょう。
被災した得意先等の取引先へ、復旧支援のために売掛金や貸付金等の債権を免除した場合、
その免除による損失は、「寄附金」や「交際費等」にならず、全額が損金の額に算入できます。
また、すでに契約しているリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合や、
災害発生後に新しく行う取引で従来の取引条件を変更する場合も、
それらによる損失の全額を損金の額に算入できます。
●得意先等の取引先とは?●
得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等です。
その他、商社を通じた取引でも、価格交渉等を直接行っている納入先など、
実質的な取引関係にあるとされるものが認められます。
被災した取引先へ復旧支援のために低利または無利息で融資を行った場合、
通常受け取るべき利息と実際に受け取った利息の差額の損失は「寄附金」にならず、
全額を損金の額に算入できます。
多数の被災者を支援するために、法人が自社製品等を救援物資として提供するための費用は
「寄附金」や「交際費等」にならず、全額を損金の額に算入できます。