★労働基準法の一部改正法について★

●施行日 平成22年4月1日

●概要
現在、少子高齢化が進行し労働力人口が減少しています。
子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が、高い水準で推移していることなどに対応し、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、労働環境を整備することが重要な課題となっています。
今回の労働基準法の改正は、このような課題に対応するため、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに、仕事と生活の調和がとれた社会を実現する観点から、労働時間に係る制度について見直しを行うものです。その主な内容は下記のとおりです。


1.時間外労働の割増賃金率 引き上げ

・1カ月60時間を超える時間外労働を行う場合の割増賃金率 改定

                 
現行 25%  ⇒  改定後 50%以上
※割増賃金率の引上げは、時間外労働が対象。休日出勤(35%)・深夜労働(25%)の割増賃金率に変更はありません。

@またはAいずれかに該当する中小企業については、当分の間、引上げは猶予されます。

 @資本金の額または出資の総額が
    小  売  業   5,000万円以下
    サービス 業   5,000万円以下
    卸  売  業       1億円以下
    上 記 以 外       3億円以下
 
 A常時使用する労働者数が
    小  売  業        50人以下
    サービス 業       100人以下
    卸  売  業       100人以下
    上 記 以 外       300人以下

・割増賃金の支払いに代えた有給の休暇の仕組みが導入
事業場で労使協定を締結すれば、1カ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、改正法による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払いに代えて、有給休暇を付与することができます
※この有給の休暇は、長時間の時間外労働を行ったときから一定の近接した期間内に、半日単位などまとまった単位で付与することが考えられますが、詳細は改正法の施行までに、労働政策審議会で議論の上、厚生労働省令で定められます。
※労働者が実際に有給休暇を取得しなかった場合には、50%の割増賃金の支払が必要です。


2.割増賃金引き上げなどの努力義務が労使に課される

   (企業規模に関わらず適用)

「時間外労働の限度基準」によって、1カ月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結しておく必要がありますが、新たに下記が必要となります。

@特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定める
A上記@の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努める
B月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努める

※労働基準法第36条第3項により、労使は、時間外労働協定の内容が限度基準告示に適合したものとなるようにしなければなりません。
※今後、改正法の施行までに、労働政策審議会で議論の上、限度基準告示が改正される予定です。


3.年次有給休暇を時間単位で取得できるようになる

   (企業規模に関わらず適用)

・現行では、年次有給休暇は日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります
・年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができます。

※所定労働日数が少ないパートタイム労働者の方なども、事業場で労使協定を締結すれば、時間単位で取得できるようになります。
※1日分の年次有給休暇が何時間分の年次有給休暇に当たるかは、労働者の所定労働時間を基に決めることになりますが、詳細は改正法の施行までに、労働政策審議会で議論上、厚生労働省令で定められます。
※例えば、労働者が日単位で取得することを希望した場合に、使用者が時間単位に変更することはできません。